十字式健康法を体験

 十字式健康法に行ってきた。背骨がおかしくなって一週間たってもよくならず、ヨガをやったら余計に悪くなったので、行くことにした。考えてみれば、妻や娘、友人にも勧めておきながら、自分は行ったことがなかった。

 会場は意外に空いていた。待っている人は年配の女性が多い。男性は少なく、いても60〜70歳くらいの人たちだ。待っている間にパンフレットを読んだ。一条ゆかりが紹介のマンガを描いていた。15分ほど待つだけで治療を受けることができた。

 上半身裸になり、二人の男性の治療を横で見ながら、順番を待つ。「宗癒師」と呼ばれる先生が、男性にどこが悪いのかを聞きながら男性の背中にベビーパウダーを塗り、背骨の曲がり具合を見る。

 「フンッ、フンッ」というような気合いをかけながら、重ね合わせた両手で背中を軽く叩いていく。その間も患者と会話しつつ、「どんどよくなりますよ」「もっと腰はよくなります」といった言葉を投げかけている。気合いはかなり力がこもっている感じ。確かに、なんらかのエネルギーがほとばしっている感じがする。

 いよいよ自分の番が回ってきた。背骨のずれと左手の痺れを伝える。宗癒師は背中を触りながら「なるほど、胸椎が少しずれてますね」といいながら「フンッ、フンッ」と気合いを入れていく。背中には触れるが、叩いているというほどのショックはない。「まっすぐになりましたよ。どんどんよくなります。左手も血行がよくなって、痺れが取れていきますよ」と声をかけてくれる。

 ついでに、「花粉症があって、近視で右目だけが悪くなっていく」と伝える。すると首にも触れて、「ここが腫れてますね。ここも」といいながら首の周囲を探る。そしてまた気合い。

 次は腰のあたりを見て、「あ、ここも少しこちらに曲がってるみたいですね。ここは痛くないですか? 右足が少し短いですね」といいながらお尻の筋肉の隙間を押してくる。環跳という経穴だ。しかし別に痛くはない。骨盤が横に傾いているようである。腰椎の下あたりにも気合いをかけてくれる。

 「おっしゃるとおり、首がかなり曲がってましたね。まっすぐになったから、どんどんよくなりますよ。一週間に一度、二、三回来てみてください」といわれて終了。

 終わってすぐには、効果はわからなかった。相変わらず左手は痺れていたし、背骨の違和感はあったからだ。しかし、治療は確実に何かが起こっている感じはした。

 会場を出てしばらく歩くと、ゲップがいくつか出た。胸椎の調整が胃に作用したのかもしれない。また、歩くと体の左右のバランスが変わった気がした。骨盤が調整されて、足の長さが変わったからかもしれない。

 帰りの電車の中では、心地よいだるさと眠気が。調整された体が落ち着くように、帰宅してからはしばらく横になって休んだ。

 ずれはかなりよくなったような気がする。横になっても痛まなくなったからだ。しかし、まだ違和感はあるし、左手の痺れも若干残っている。一発では治らなかったようだ。

 十字式に対する私の印象は、総じてよいものだった。受付の女性たちも感じがよかったし、宗癒師も人格、技量ともに優れていると思った。私もレイキのアチューンメントを一人で一週間に30人ほどに行ったことがあるが、大変だった。十字式は一日でおそらく100人以上の患者を相手にするわけで、それは並大抵のことではないと思う。

 また、ポジティブな言葉を常に投げかける点もキリスト教をバックボーンにしているというだけあって、慈善の精神が感じられた。一人二人ならともかく、一日中体調の悪い人を相手に気を発し続けていながら、この態度を続けられる人は本物だと思う。

 二、三日様子を見て、必要だったらもう一度行ってみようと思っている。