腰と足のつながり

 練習における最近の個人的なテーマをいくつか。

1. 腰と足のつながりについて
2. 股関節について
3. タントウ
4. 意の用い方
5. 発勁

 まず、腰と足のつながりについて。

「腰がしっかりしてきましたね。では、足と腰のつながりに注意してください」

 十二月の始めに、遠藤先生からそういわれて足の運びや腰の形などについて、細かい注意を受けた。

 遠藤先生の指導法には、長期的展望に基づいた段階的な指導法が確固としてあるようだ。

 入門当初に何度も注意を受けたのは、含胸して胸の気を沈めること。含胸の注意を受けなくなるまで、一年以上かかったかもしれない。

 同時にずっと注意を受け続けたのが、腰だった。

 それは先生の個人的な経験も影響しているようで、腰を強くすることの大切さと、その方法をくどいほど叩き込んでもらったのだった。

 そうした腰の練り方が多少なりとも身につき、しっかりしてきたと言ってもらえるまでに入門から三年半、八卦掌を始めてから四年以上もかかった。

 腰と足のつながりは、感覚を求めて練習して、自分なりにつながった感じがする歩き方をすると、次の練習で大きく修正を受けた。

 直してもらった形で歩けばつながりを感じられるかというと、全然そんなことはない。むしろ、初心者に戻ったような頼りない感じである。

 仕方がないから自分の感覚を頼りにするのをやめ、指導された形をできるだけ忠実に守ることだけを考えて歩く。

 つながった感覚は明日わかるかもしれないし、また四年かかるのかもしれない。しかし、自分の感覚があてにならず、先生に習った形をなぞっていけばそのうちにわかってくるということを事実として知っているので、この方法を続けるわけである。

 伝統武術は外形から内勁を導く。まずは形をなぞるだけである。

 そして確かな技術を持った先生が教えるつもりなら、内勁が会得できるように少しずつ導いてもらえる。

 内勁が理解できるまでは、努力と忍耐しかない。それは三倍努力したから三分の一に縮まるかというとそういうものではなく、やはり時間をかけないとわからないことがあるのだ。走圏の場合、完全に体得するには十年かかるという。

 そんな気の長いプロジェクトに取り組んでいるわけだから、考え方も年単位であることが必要になってくる。

 言われたとおりに練習していて、腰や丹田に集中できるようになった。そしてそれを基準に力を発することができるようになってきた。

 だからこそ、いま受けている指導もわからないながらやっていこうと思えるのである。

 2.以降については、またの機会に。