収胯、提肛、座るということ

 先日、また収胯について徹底的に教えを受けた。


 これまでの姿勢や動作がバラバラになるほど直しが出たのだ。


 股関節の折り目、膝の位置、足の纏絲、そして後ろ足に「座る」ということ。


 収胯は足に勁を通す上で重要なのだが、それは同時に「座る」ということなのだ、と徹底的に教わった。


 走圏中に何度も修正を受け、鋏馬式で同じ要点をやり、馬歩でもやる。収胯のオンパレードだった。


 膝の位置については以前も少し注意を受けたが、そんなに気に留めていなかった。言われた通りできなかったのだが、深く考えていなかったのだ。しかしこの日は、膝の位置がなぜ大事なのか、実にわかりやすく説明があった。


 考えてみれば、股関節や足の纏絲、膝について指導を受けるようになったのはここ半年ほどのことである。それまでは収胯や足の纏絲について、ほとんど注意されることはなかった。それだけ、腰の強化に重点を置いていたのだと思う。


 確かに、提肛や端腰と収胯は同時に学ぶのはむずかしい。私は今でも、提肛端腰に重点を置けば収胯を忘れ、収胯にこだわれば提肛端腰がおろそかになる。両立は簡単ではない。


 遠藤先生は、この点でも内家と外家の違いをわかりやすく説明された。なるほど、と思わず納得のいく説明だった。正直言って、まったく考えたことがないテーマだった。中国の先生もこんなに詳しい説明はしてくれないから、先生は自分で考えたのでそうである。五年間学んでいるが、初めて聞くこうした生きた理論がいまだに出てくるから驚きである。


 今回この教えを受けたおかげで、走圏だけでなく、馬歩を初めとするすべての姿勢で重心のバランスを変更せざるを得なくなった。要するに、これまでのバランスではまったく「座る」ということができていなかったので、すべてを見直さなければいけないのだ。


 「座る」ことを意識すると、重心がかかとの方へいって、つま先が浮いてしまう。「座る」ための筋が弱いのである。上体が緊張してしまうので、気血も沈まない。初心者に戻ったみたいである。


 腰、腎の強化の次に与えられたテーマ、収胯をそれなりにマスターするには、半年から一年はかかりそうだ。また、技の威力のなさも痛感している。足が弱い、腰も弱い、背中も弱い、肩も弱い、腕も弱い、手首も手も指も弱い。


 どう弱いかが理解できた時点がスタートなので、少しずつでも前へ進んでいこうと思う。