収胯と蓄勁

 股関節の状態が最近の走圏のテーマだった。どういう状態を求めればいいのか自分なりの基準が確立できず、先生の指導をもとに手探りしている状態だった。

 昨日、やっと自分なりの基準がつかめた気がした。

 書いてみると簡単なことだし、今まで何度も書いてきたことである。要するに、発勁を基準にする、蓄勁の状態がそのまま走圏の姿勢である、ということ。このことを、また新たな視点から体で理解できた、という感じだろうか。

 最近、指導者研究会で遠藤先生から形意拳の練法を指導してもらった。鑚拳だったが、一般に行われているものと違い、より実用的な形のものだった。孫詩先生より指導されたものだそうだが、これを学んで形意拳に対する見方がかなり変わってしまった。鑚拳の第二段階練法という感じである。

 私は形意拳を学生時代に学んで以来、気に入って練習時間の多くを割いてきた。最近、また形意拳を練習してみたいと思い始めていたのだが、この鑚拳を学んでその気持ちに火がついてしまった。

 それで少しずつ形意拳のまねごとをしているのだが、その過程で胯の使い方に気づきがあった。

 劈拳では下方をなでるように両手を引いてくる動作があるが、このときの姿勢を考えていて、胯の使い方の重要性に思い至った。

 丹田から力を出す場合、それを支え、力を増幅するのは足である。そして、丹田と足をつなぐのが股関節である。発勁の際、股関節がいかに効率よく丹田と足をつなぐか。それが効果的に力を生み出す上で重要なポイントとなるのである。

 その点に注意して劈拳を繰り返していたところ、「収胯」という口訣の意味することがわかったような気がしたのである。

 できる限り注意点を守って走圏を行っていると、どうしても足がふらついてしまう。それがなぜか、胯に注意していると理由がわかってきた。

 体重が後ろの足から前の足へ移っていくとき、どうしても股関節廻りの小さな筋肉で体重を支え、体を前へ運ばなければならないポイントがある。そこでごまかさずに歩くと、支えきれずにふらついてしまうのだ。

 私が入会してしばらくした頃、遠藤先生は股関節を弱く感じた時期がある、と前回の日記で書いた。私はその時は理解できなかったが、今ようやく胯を意識して歩けるようになってきたのかもしれない。

 劈拳を練習していても、蓄勁の部分でやはり股関節が弱いのを感じる。また、その部分が少し固いのも感じる。固いので力がうまく伝わるベストの部分に股関節が収まらないのだ。これはストレッチなどで解決できそうにない部分の柔軟性で、走圏など武術の練習で伸ばし、鍛えてゆく以外になさそうなのである。

 収胯以外には、脾胃の問題や意を通していくことが当面のテーマ。意に関しては先日も先生より詳しい解説を受けて、やっと少し意味がわかってきた。自分なりに練習法も思いついたので、少しずつやっていこうと思う。