下端腰

 走圏は七月半ばに大きな修正を受けた。前足へかかる体重を、ぐっと後ろ足へ移すように直されたのである。 
 同時に、前足へ体重が移っていき、後ろの足が前へ出ていく過程で、どの部分を動かしてどの部分を動かさないかという問題について、徹底的に指導を受けた。 
 遠藤先生の指導は、まず腰を強くすることを最優先する。腰がある程度強くなり、また腰を強くするような歩き方も身につけた段階で、足に勁を通し、丹田を充実させるという次の段階に進むようだ。。 
 足へ勁を通すということは、上体の重さをいかに地面まで伝えるかということでもある。これは発勁を行う上でも、非常に重要なポイントだ。 
 今回の一連の修正で感じたのは、提肛と下端腰の両立という問題。下端腰についてはよくわかっていなかったのが、遠藤先生に解説を受けながら何度も実演してもらって、やっと理解できた。 
 端腰の端とは、まっすぐの意。端腰とは、腰をまっすぐにするという意味だ。しかもそれに「下」がついている。腰の下方をまっすぐにし、かつ提肛をしっかり行う。この意味と重要性がやっとわかってきた。 
 遠藤先生の門下に入って四年以上たつが、やっと理解できたわけである。理解はできたがまだこれを常時体現することはできず、少し歩いては休憩しなければ続かない有様である。 
 内家拳は十年かかるというが、個人的にはもっとかかるのではないかと思う。この単調な練習を何十年も続け、その成果を上げることができるのは、本当に限られた人だと思う。