From Kinfauns To Chaos 

 子どもから感染したインフルエンザもかなりよくなってきた。まだ少し寒気がするが。締め切りと寒気、そして不況におびえながら仕事をしています。

 といいつつ、バックミュージックはiBookに仕込んであるビートルズ・ナンバー。例によってブートである。今聞いているのは、先日手に入れた「From Kinfauns To Chaos - White Album Demos/Sessions」。その名の通り、ホワイトアルバムのレコーディングに先立つデモ演奏である。

 Kinfaunsにあるジョージの家で録音されたのでこのタイトルがつけられているのだが、聞いてみると一人で録音されているものが多い。ボーカルのダブルトラック、ギター、ハンドクラップのダビングも施されており、かなり完成度の高いデモである。

 この時期のデモ演奏としては「アンソロジー」に収められた「While My Guitar Gently Weeps」が有名だが、ここに収録されているのはまた違ったバージョン。ジョージのボーカルがダブルトラックになっており、キーボードも入っている。

 その他にも、ビートルズ時代には公式録音されなかったポールの「Junk」やジョージの「Circles」、「Sour Milk Sea」なども聞きどころ。ジョンが生ギター一本で歌う「Yer Blues」「Revolution」なんかもいいぞ。音はまあまあ。

 このCDは二枚組。Disk2は問題作だ。"From Kinfauns To Chaos"と名付けられたわけも、これを聞けばわかる。「Revolution」のレコーディング風景なのだが、なぜかヨーコが甘ったるい声で延々とジョンに語りかけている声がかぶっているのだ。確かにカオスだ。

 この声を聞くと、映画「Let It Be」に登場して顰蹙をかった当時のことを思い出すが、今になって思うとこの録音もジョンがヨーコに依頼し、自分への愛の言葉を録音させていたのではないかと思う。あのころのジョンは、成長期に欠けていた親の愛を取り戻そうと、必死にヨーコにしがみついていた時期だったから。このDisk2の音源がどういういきさつで録音され、流出したのかわからないが、私としてはそう推測するのである。

 といいつつ熱を測ってみたら、37.7℃。どうりで寒気がするわけだ。こんなことを書いている場合じゃないので、仕事します。