クンバハカ2 

 クンバハカのことを書こうと思っているうちに、日が過ぎてしまった。

 中村天風が伝えたクンバハカは、以下のようなものである。


1:肩をゆるめる。
2:肛門を締める。
3:臍下三寸にある丹田に気を沈め、充実させる。


 この体勢をとることにより、外界の刺激に左右されず、落ち着きを保つことができる、と中村天風はいう。怒ると肩が上がり、横隔膜が上がって自分をコントロールできなくなる。だから、日ごろから練習して気を沈める習慣をつけ、いざというときには瞬時にクンバハカの体勢をとるようにすべきである、というのである。

 馬貴派八卦掌の走圏は、クンバハカと共通する点が多い。クンバハカの体勢のまま歩く、といっても過言ではない。そしてさらに、クンバハカにないものがある。それは腎を盛んにすること、筋を鍛えること、気血を養うこと、クンバハカ以上に気を沈め、身体に千斤の重みを持つことである。

 中村天風は「クンバハカは秘宝である」と延べている。馬貴派の走圏は身につけることが非常にむずかしいが、確かに秘宝であると思う。