アラキドン酸で頭がよくなる?

 以前リノール酸過剰摂取の害について書いたら、知り合いからけっこう反響があった。リノール酸は体内でアラキドン酸に変化し、それがアレルギーやガンの原因になっているという内容だ。

 しかし、「 アラキドン酸で”脳力”回復 半年服用で記憶改善」なんてニュースを発見。以下に一部を引用。


鶏卵やレバーに含まれる食用油脂「アラキドン酸」が傷んだ脳機能の回復に効果がある ことを、金大大学院医学系研究科の山嶋哲盛助教授(再生脳外科学)らの研究グループが 確認した。脳卒中脳挫傷の後遺症で記憶力や注意力の低下に悩む患者が増える中、六カ 月間の服用により記憶力が平均並みに改善した例もあった。七月の日本神経科学大会で発 表する。


 こんな記事を読むといったいどうなっているんだ、と思ってしまう。改めてアラキドン酸について調べてみた。

 確かに、アラキドン酸は必須脂肪酸で、とくに胎児、乳児の発育に欠かせない栄養素のようだ。記憶力に関係するのも事実だろう。しかし、過剰摂取による害も、以前紹介したように存在しているのだ。

 記憶力改善によい、という報道も事実には違いない。しかし、この記事だけを読むとアラキドン酸をたくさん摂取したい、と思ってしまう人がほとんどではないだろうか。逆に、アラキドン酸やリノール酸の害についてだけ聞かされて人は、アラキドン酸は一切摂取してはいけない有害物質のように思ってしまうだろう。

 健康に関する情報は多い。どれも一見「科学的」な装いで提示される。だが、中途半端な情報をもとにして特定のサプリメントや健康食品を大量に摂取するのは、おそろしいことだと思う。