昨日、久しぶりにお灸をすえた。鳩尾から下腹部にかけての正中線上に何カ所か。汗が出てきて、右鼻の上部がピクピクする。私は右鼻がいつも詰まっていてウィークポイントなのだが、ここの経絡が開こうとしているかのようである。肩や手の指先も気が流れる感じがして、お灸が効いているのがわかる。

 胃腸の不調には梅醤番茶しか頭になかったが、ウチにはお灸もあったのだ。夏バテにお灸とは考えもしなかったが、考えてみれば夏バテは胃腸の冷えである。冷えた胃腸をお灸で外から温める。これは効果がないはずがないではないか。試してみてそう確信した。なんだか非常に爽快な気分になったのである。

 わが家のお灸は、友人の鍼灸師、タミちゃんからもらったものである。一時間半くらいかけてやって来て、お灸セットをくれ、使い方を伝授してくれたのだ。
 モグサは彼女が特別に仕入れている高級品。これを小さな紙筒に詰め、モグサの頭を出し、スティック糊でツボに貼り付ける。そして火をつけるのだ。
 紙筒のお陰でモグサと皮膚の間には適度な空間がある。熱くなりすぎると周囲の皮膚を指先で軽くさわってごまかす。それでも熱いと、ピンセットでつまんで場所を変える。

 この紙筒はもともとモグサが詰められた市販品なのだが、デフォルトのものを使ったら紙筒をとっておいて、高級モグサを詰めて再利用するのである。適度な分量のモグサを筒から出すためのプラスチックの棒も付いていて、便利である。この市販品のお灸、高級モグサ、使い切りのロングサイズライターを適度なサイズのタッパに入れて、持って来てくれたのだからありがたい。

 お灸はいったん始めるとはまってしまう。お腹に六ヶ所くらいお灸をした後は、違和感のあるアキレス腱に四カ所(三陰交という経穴など)、足の裏にある腎経の経穴・湧泉あたりにも八カ所お灸をした。

 すると手足が温まり、気が巡る感じがして実に心地よい。夏で暑いわけだが、不快な感じではなく、非常に気持ちがいいのである。
 お灸って、こんなにいいものだったんですね。タミちゃんに改めて感謝です。