DVD学習

 太我会では、会員の練習の様子を撮影してDVDで配布するという試みを始めている。それは個別に行われ、自分の番になったら先生の奥様が撮影して下さるわけである。


 私の所属する杉並教室は先生のご自宅から遠いこともあって撮影はまだ行われていなかったのだが、先日新百合ヶ丘教室に参加したところ、私の分の撮影が行われた。驚いたことに、二時間撮影しっぱなしである。撮影も大変じゃないかと思う。


 自分の姿を見るのは、嫌なものである。で、とりあえず気づいたのは、走圏時の外側の足の使い方。これは先生にずっと注意されてきたのだが直らなかった欠点だ。映像を見て一目瞭然、ひどいものである。やってはいけないということをモロにやっている。


 円周を歩くという意識がそうさせるのだろうが、外側の股関節がしっかり定まらないのだ。これじゃ先生は困るよなあ。右肩が上がる、というクセについてもよくわかった。


「三回注意して直らない欠点は放置する」という老師は多い。中国の伝統武術の先生はだいたいそんな感じだ。日本武道の世界でも、一昔前まではそうだった。


 先日、宮大工の方にお話を聞く機会があった。まだ30代半ばの大工さんで、師匠である棟梁は工務店の采配を息子に譲ったものの、まだ健在でおられるようだ。


 私よりひと回り以上若いその方でさえ、仕事を覚えるにはずいぶん苦労したという。


「仕事は教えてくれないし、できなくても怒られる。かといって、棟梁の仕事を見ていても怒られるんです」


 なんと、伝統武術より厳しい世界ではないだろうか。時には殴られることもあったそうだ。その棟梁に弟子入りした人は合計12人、しかし修行を終えて独立するところまで続いたのはたった二人だったそうだ。しかも三年や五年ではなく、十三年かかったという。それだけ、伝えるべきもの、学ぶものが多い世界なのだ。


 今回、いただいたDVDを見ながら、太我会のありがたさを痛感した。本当に手取り足取り教えてもらえる。走圏に関しては、三回どころか、もう数百回は同じところを直されているんじゃないだろうか。それでも直らないので、先生は業を煮やしてDVD撮影までしてくれるわけである。


 あれだけ注意されても理解できず、直せなかった欠点だが、映像を見れば一目瞭然、どこが悪いのか一瞬でわかった。おかげで少しは改善されるのではないだろうか。


 この春から体調が下降気味であまり練習できていないが、せっかくここまでしてもらえるのだから、教えられたことは覚え、指摘された欠点はできるだけ直していきたいと思う。