荒井義雄先生の中心道

 先週の土曜日(30日)は、荒井義雄先生による「気の達人養成講座」(主催・船井ビジョンクリエイツ)の体験取材に行ってきた。


 午前十時から夕方六時まで、各種のメニューをこなしてゆく。午後二時半からは聖中心道肥田式強健術を主に学ぶ、マスタークラスである。


 中心道については二十年以上前から知っていたが、体験するのは初めてだ。中国武術中心にやってきた私は、特に興味がなかったのである。しかし、今回はいい機会だと思った。今回の講座を担当する荒井義雄氏は、中心道によってクンダリニーが上昇し、ヒーリング能力や直観能力が目覚めた人。船井幸雄氏の船井ビジョンクリエイツでもイチ押しとっていいセミナーだ。


 荒井先生は船井氏が惚れ込むだけあって、中心道の実力もすばらしいものだった。中国風にいえば、相当な功夫がある方だ。昭和五年生まれだから今年で79歳、来年には80歳。とてもそんな年には思えないパワーと迫力。


 中心道は腰を反らすことで丹田、中心を作る。これは八卦掌をはじめとする内家拳とは逆であり、不安があった。何しろやったことのない動き、姿勢である。


 実際に体験してみて思ったのは、内家拳の姿勢と中心道の姿勢は裏表になっていて、どちらも発勁に姿勢な必要だ、ということ。腰を反らせた姿勢は、勁を出し切った姿勢だ。走圏が蓄勢を練っているなら、中心道の姿勢は出し切った姿勢を鍛えている。相手を引き込む技なら、この姿勢から腰を丸めた姿勢へと移行するわけである。


 というわけで、これまで明確な意識を持って練習することのなかった腰を反らす姿勢を体験できたのは勉強になった。また、荒井先生の強烈な爆発呼吸を間近で何度も見ることができたのも収穫。胸から腹への気の移動も見事だった。


 中心道の鍛錬は、ある意味で八卦掌よりもずっと激しい。八極拳心意六合拳みたいな所がある。来年で80歳になる荒井先生は、それを何時間も軽々とこなしていた。「気合いでやるんだから、全然疲れないよ」とおっしゃっていたが、馬歩のような低い姿勢から急に立ち上がったり、急に沈み込んだり、決して楽な運動ではないと思う。しかし、修練を続けることによって、あの年齢であれだけの体力を維持できるという実例を見せていただけたことは、実にありがたいことである。