小ハイキング 



今日は一人で八王子城跡というところを散策してきました。



天正年間という、戦国時代の真っ最中に北条氏が築いた城。難攻不落の堅城だったそうですが、数千人で守る城を天下統一の仕上げにかかった豊臣秀吉の軍五万に攻められ、一日で落城したそうです。



軽い気持ちで登り始めましたが、けっこう大変でした。城というより山ですね。ふもとから頂上の本丸まで30分近くかかったでしょうか。



土曜日ですが、交通が不便なため、人もあまりいませんでした。山中で出会う人もほとんどおらず、一人で物思いにふけりながら歩くことができました。



本丸下の桜は散って、地面が花びらでいっぱいでした。すごくきれいでした。桜の絨毯の上に立ち、はるか八王子の町並みを見渡すことができました。



400年前に戦って死んでいった数千人の兵たちに思いをはせながら山を登っていると、個人的な思いが様々に去来しました。



仕事のこと、家族のこと、将来のこと。不安だらけですが、思いが流れるままにしておくと、そのうちにあまり気にならなくなりました。



下山するときに登りと違うルートを取ると、何もない、林に囲まれた広場に出ました。広場の回りには、古びた各種の石の観音像がぐるりと安置されていました。



観音の霊場となっているらしく、全部で十体くらいあったでしょうか。千手観音、十一面観音、馬頭観音・・・。ひとつひとつ拝んでいきました。「南無観世音菩薩、南無観世音菩薩、南無観世音菩薩・・・」



矢印にしたがって拝んでいくと、林の中に入り、林を抜けると御主殿跡に出ました。



御主殿は、八王子城のふもとにあった城主・北条氏照の居館です。八王子の山中にしては、かなり巨大で立派な館だったようです。



この館のそばには城山川が流れており、「御主殿の滝」があります。城が落ちたとき、多くの女性や子どもがこの滝から身を投げて亡くなったそうです。



この城山の本丸下に八王子神社が建立され、御主殿跡の上の広場に観音堂と多くの観音石仏があるのは、きっと亡くなった多くの方の霊を慰めるためでしょう。



御主殿跡の奥へ、林道を歩いていきました。奥にある広場には何本も八重桜が植えられていて、白やピンクの花が咲き誇っていました。林道の向こうに木陰から見えた八重桜の林は、建物の屋根かと思うほど鮮やかでした。



花粉症もあって最近は自然に触れることも少なかったのですが、今日は久しぶりに気持ちのいい散策ができました。