一昨日は、知人に誘われて合気道の演武会を見に行ってきた。すごくいい先生の演武が見れるから、というので気軽に行くことにしたが、場所はなんと甲府だった。

 見学したのは、山梨養神館の演武会。私は80年代に二度、塩田先生を取材し、その技を目の前で見せていただいた。タイソンが来日して養神館を訪問したときも連絡をいただいてお邪魔し、先生の演武を取材させていただいた。先生の明るい人柄と素晴らしい技の切れは非常に印象に残っている。

 演武会は素晴らしかった。ゲストの方々も含め、養神館の練度の高さは相当なものだ。私がいちばん感心したのは、入り身のうまさ。演武会というと打ち合わせ通りにやらなければいけないので、どこかぎこちないものだが、養神館の演武はみな入り身が速く、的確で、技のキレがすごい。体もできていて力強い。

 聞くところによると、養神館の演武は打ち込み方が決まっているだけで、技をおこなう側は間合いとタイミングを判断して瞬間的にかける技を決めているのだという。打ち合わせ通りに進行しているわけではないのだ。だからあんなに迫力があったのだ。受けも取りも非常に真剣で、かつ技がダイナミックなのである。

 こうした練習法は一般にはあまり見たことがない。しかし、型で技を練り上げていく武術では、不可欠だな、と感じた。もちろん危険な技は思い切りかけるわけにはいかないが、相手の動きに合わせて入り身をし、技の導入部だけでもかけるようにすればかなり違うと思う。もちろん打ち込み方だけを決めておき、どう入るか、どう投げるかはその場で判断するわけである。

 われわれの八卦掌の場合、対練が始まるのは三年間の基本練習を終え、テストに合格してからである。対練ができる日が来たら、こうしたやり方を参考にさせてもらおうと思う。

 さて走圏だが、最近は背中が痛い。以前痛めたところがまた痛くなってきた。治ったと思っていた背中の筋が八卦掌を始めて痛むことがあったが、今回は三度目である。胸をゆるめる事を心がけていたら背中側が張るせいか、引き伸ばされて痛みが出てくるようだ。練習が進むにつれて、同じ場所が何度も痛むのがおもしろい。そのほか背中や腰のいろんなところが少しずつ痛むので、最近の走圏が背中や腰に効いているのがわかる。

 上体をゆるめる、腰や脇腹を充実させる、重さを足裏まで伝える・・・・・この三つに重点を置いて練習しているが、それを達成するためにまた数多くの注意点があり、なかなか行き届かない。注意を受けた点に意識が行き過ぎると他がおろそかになり、先生に「アバウトに練習することも必要ですよ」と言われた。繊細さを忘れずに、ある程度アバウトに、大胆に練習する。全体を忘れないためにも、これは大切なことだ。