40歳を過ぎた頃から、夏バテするようになった。八月の半ばを過ぎたあたりから胃腸の具合がおかしくなり、身体もだるくなってくる。一番ひどかった年は、治るまで十月いっぱいかかった。二ヶ月以上も胃が痛くてお粥しか食べられず、とにかく全身がだるかったことを覚えている。

 胃腸の具合がおかしくなるとだるくて力が入らなくなり、脇の下に帯状発疹ができる。これが痛痒く、非常に不愉快なのである。

 昨年は大丈夫だったが、今年は少し夏バテした。今年は腸の調子を崩して、九月は下痢が続き、帯状発疹も出た。週に一度風邪を引いていたし、胃が痛むことも多く、食欲が落ちていた。

 十月に入っても一進一退といった状態だったが、先週六日の練習日もだるくて困った状態だった。ガマンして走圏をしていたのだが、この日は苦手な龍形走圏をけっこう手直ししてもらい、これが実にきつかった。

 龍形は適当にしか練習していないので、しっかり身体をねじって歩くときついことおびただしい。直してもらった姿勢をできるだけ崩さずに、腰の形を一度決めたらそのまま動かさないという注意を守りながら歩いたら、メチャメチャに汗が出た。真夏の練習に劣らないほどの量の汗だ。

 それがよかったようだ。胃部の不快感がきれいになくなり、だるさも解消されていた。仲間からも「顔色がいい」といわれた。

 これを境に一か月続いた不調がほとんどきれいさっぱりなくなった。我ながら、その効果に驚いた。ふだんあまり使わない筋に力を入れ、引き延ばしながら歩くことによって、胃腸に関わる経絡が通じたのだろうか。ゆっくりと効果が出てくることは何度も経験していたが、こんなに劇的な効果を感じたのは初めてのことだった。

 それ以来、龍形が好きになった。私の弱点である胃腸を丈夫にしてくれるかもしれない。ゆくゆくは花粉症も治るかも。