「月刊空手道」で伝統的な沖縄空手の記事を見ると、以前と違った感慨がある。八卦掌を始める前はわからなかったが、内家拳とも実に共通点が多いのだ。

 先月号は剛柔流の特集だった。剛柔流の達人が技術解説をやっていたが、先生の語る内容がわれわれの八卦とそっくりなのである。「筋肉ではなく、筋で打つ」「地面に根を生やすように立つ」。そんな内容が、われわれの八卦と同じなのだ。

 今月号でも、「隠れ武士」として紹介されている老空手家が、やはり同じようなことをいっていた。「筋肉ではなく、チル(筋)を鍛える。チルは型を練習することでしか鍛えられない」。

 以前は北派と南派は全然違うものだと思っていたが、最近は共通点の方が多いと思うようになってきた。鍛え方の体系や表現のしかたが違うだけで、実は似たようなことをやっているのだ。走圏を習ったとき、これは三戦にそっくりだな、と思ったこともあった。

 違うのは、上半身の鍛え方ではないだろうか。八卦掌の場合、上体は力を抜き、龍形や獅形といった構えのまま歩くことで上体を鍛え、技の基礎を作る。空手を始め南派では上体に力を入れることによって鍛え、作っていくように見える。ある程度鍛えたら、きっと放鬆を学ぶ段階があるのだろう。

 ものすごい鍛練を積んで、武人としての気概と緊張感を忘れずに日々稽古している沖縄の空手家のエピソードを読むと、いい刺激になる。もちろん自分にはあそこまでできないが、少しでも近づこうという気持ちは忘れないようにしたいと思う。