先日、縁あって古流柔術の先生のお宅を訪ねた。紹介してくださる方がいて、ご挨拶に行ったのだ。

 優れた技術を継承されているのだが、古武道協会といった組織にも属さず、他の流派との交流もせず、少数の弟子にのみ指導しながら流儀の技を守っておられる。

 ビールと奥様の手料理で歓待していただきながら、技を体験させていただいた。宗家の技はスッと入ってポイントをぴたっと極められ、あっという間に地面に潰される。いくつかの手順を踏む技ではなく、一瞬の技でその場に潰される。実際なら、瞬時に骨を折られると同時に顔から地面に激突するという、恐ろしい技ばかりであった。

 わんこそばのように次々とビールをついでくださり、料理を勧めてくださった宗家。気配りがすばらしく、謙虚で優しさのある、折り目正しい紳士であった。

 技も人格もすばらしい、このような武術家に出会えたのは、本当に感謝すべき事だ。紹介してくださった先輩にも、本当に感謝である。