国土地理院が空中撮影した写真が公開されている。住所で検索でき、過去の空中写真を見ることができる。

 私はこれで神戸の実家のあたりを検索してみた。昭和49年、54年、60年に撮影した三種類を見ることができる。それぞれ私が15歳、20歳、26歳に相当する。

 とくに昭和49年の写真はいろいろなことを思い出させてくれた。平和だった子供の頃の懐かしい風景が次々と浮かんでくる。

 昭和60年は、私が大学生だった時期。大学の近くに住んでいたので、検索してみた。私が卒業する頃に古い下宿やアパートが次々に取り壊されたが、この写真にはまだそれらの懐かしい建物がしっかり写っている。

 友人たちが住んでいた、木造二階建て、中庭ありのクラシックな下宿。六畳と四畳半の和室が中庭を囲んでずらりと並ぶ。台所、トイレは共同。広い玄関があり、それぞれの下駄箱がある。中庭には植木が植えられている。みどり荘、早稲田荘という同じ設計の建物がすぐ近くに建っていた。

 この空中写真の道路には、中学生や大学生の私が歩いているのだろう。二度と帰らない、昭和の建物たち。二度と帰らない思い出。時間というのは残酷なものだな、と改めて感じてしまった。