iBookのOSを、やっとOSXにした。ずっとOS9.2.2で使ってきたが、この春にもOS10.4が出ると聞き、導入することにした。私のiBookでは、新しいOSは重すぎるかもしれないからだ。

 これまでもときどき10.1に切り替えて使っていたが、日本語変換システムがデフォルトの「ことえり」しかなく、仕事にならないのであきらめていた。今回はATOK17も手に入れ、やっとOS10.3:Pantherを導入できた。

 MacのOSは、10.0から根本的に変わってしまった。そのために日本語変換システムをはじめ、ソフトをすべて買い換えなければならないのである。

 私は編集者兼ライターなので、主に使うのはテキストエディタとメールソフト、インターネットブラウザくらいのものなのだが、送られてきたデータを見たり、多少の加工をするために、実に多くのソフトがいる。

 これまでインストールしていたのは、フォトショップイラストレーター、クォークエクスプレス、ページメーカーなどなど。それに送られてくる文書はほとんどがワード形式、ときにはエクセルのファイルも来るので、Officeも必要だ。

 新しいOS上では、これらのソフトはすべて使えないのである。厳密にはこれまでのOS9OSX上で立ち上げ、さらにその上でOS9対応のソフトを立ち上げる、というやり方で使うことができる(Clasic環境などという)。しかし、二回もOSを立ち上げるのは非常に面倒だし、両方のOSとソフトを切り替えながら仕事をするのはなんだか非常にストレスがかかるのだ。

 それでなくとも、OSXはユニックスという本来はサーバー用のOSの上に乗せられている。ユニックスの上にOSX、その上にOS9。さらにVirtualPCの上でWindowsも使ったらどうなるんでしょうか。

 OSXになって、使い勝手がかなり変わってしまった。今まで無意識にできたことが、考えなければいけないし、手間がかかったりする。私の場合、OS9ならアップルメニュー、ランチャー、ファインダーメニューを使い分けて目的の書類やソフトにアクセスする。なるべくウィンドウを閉じたり開いたりしなくてもいいように、また開いているアプリケーションの切り替えのために、自分なりのセッティングができていたのだ。

 アップルメニューは、ウィンドウを開かずにワンクリックで目的の書類、ファイル、ソフトへとたどりつけるので便利だった。OSXではウィンドウをカラム表示にして目的までたどるのだが、けっこう面倒くさいのである。わざわざウィンドウを開き、上部階層からたどっていくと、深い階層の場合、ウィンドウが狭くてすべてを表示できなかったりするのだ。

 そういうわけで、アップルメニューを復活させるフリーソフトを探してダウンロードしたり、ファインダーメニューやランチャーの代わりになるものを探し、試している。

 その他のソフトも手に入れてインストールし、いろいろと設定をしていたら全然仕事にならない。新しいおもちゃをいじくっているような感じで、時間がどんどん過ぎていく。危険である。

 その甲斐あって、やっと違和感なく使えるようになった。新しい道具は、慣れるまでが大変である。MacはPowerBook100や2CVの頃から使っているが、OSXへの移行はもっとも大きな変化だった。おかげでフリーズはしにくくなったが、ブラックボックス化が進んだことも事実である。

 パソコンは嫌いではないのだが、「あれは男の精力を奪い取ってしまう機械だ。パソコンに使われていると、ビル・ゲイツのような顔になってしまう」、そう喝破したのはフリーエネルギーの研究者・井出治氏である。

 井出氏は、今でもNECの98を使っている。20年ほど前までは実験用のプログラムを自分で作っていたそうだが、そのときにコンピュータの恐ろしさを感じ取ったようだ。だから、氏のコンピュータは今でも5インチのドライブが二つついた、キューハチなのである。もちろんネットにはつながらないから、電子メールも使わない。電話かファクスである。

 そんな男らしい生活を押し通してみたいが、なかなかな〜。