「ラストサムライ」を見た。ちゃんと映画館で。良くも悪くも、アメリカ人の作ったハリウッド映画だな。
 先日、35歳の自衛官と、40過ぎのイギリス人鍼灸師という組み合わせで少し話をした。イギリス人は自衛官に「イラクの戦争をどう思う? 自分が派遣されることになったらどうする?」なんてさっそく聞いていた。

 自衛官は「イラクの町や人々を見てみたい」といっていたが、それはまだ自衛隊が戦闘に巻き込まれていないからだろう。殺し、殺される本物の戦争になったら、彼らはどうするのだろうか。

ラストサムライ」も暴力だらけの映画だった。江戸時代の終わり、西洋列強といわれる国々は暴力を背景にアジアを植民地にしてきた。日本は列強に習い、自らも武装し、植民地獲得を目指した。
 日清、日露の戦争、第一次大戦戦勝国になった日本。大きくなりすぎたのだ。満州、朝鮮、台湾、樺太の南半分、南太平洋の島々まで日本の領土だったのだ。

 その結果は、ABCD包囲網ハルノート。挑発に乗った日本は開戦、そして敗北。

 自衛隊イラク派遣をアメリカに求められた小泉首相は、当初派遣に反対だった。しかし、外務省より「反対すればアメリカから首相をクビにされますよ」と迫られた。そんな記事が毎日新聞に掲載されていたという。

 同じ敗戦国でも、日本はドイツとはかなり立場が違うようである。ECの一員ということもあるだろう。自民党は想像以上にアメリカに首根っこを押さえられている。

 多国籍軍への編入も決まったようだし、自衛隊の正規軍化は止まらない流れのようだ。

 国家の主権は失われているというのに、東京都教育委員会の異常な国歌・国旗の押しつけ。石原都知事の意を受けた横山教育長の暴走だ。ものを言えない世の中になりつつある。

 かといって自分は政治運動も平和運動もしていない。自らの心に平和を達成するべく努力するのでやっとである。

 黒船がやってきてサムライは滅んだ。B-29と原爆で大日本帝国も滅んだ。で、われわれは誰なのか。中学や高校の行事で国歌を強制することが、大和魂の復活につながるとでも考えているのか。

 エライ人たちは、実は昔から全然偉くなんかない。何が大切なのか、何をするべきなのか。それぞれが自分なりの答を出し、それに責任を持つ。それしかないだろう。