自然歩

 先日、尹派八卦掌の林陽さんが久しぶりに日本に戻られ、講習会を開いて下さった。

 前回、青山道場で講習会をお願いしたのが2006年2月。もう四年もたった。その後林さんは結婚され、ご主人とアメリカ・ユタ州に移られた。今回は北京への里帰りのあと、日本に滞在されたのを機に講習会をお願いした。

 林陽さんの動きはあいかわらず非常に素直で、王尚智先生の伝える尹派八卦掌の素朴さがよくわかる。素直な動きの少林拳羅漢拳)をベースにした尹派本来の姿がよく理解できる。

 今回の収穫の一つは、尹派の自然歩に触れることができたこと。王先生伝の尹派は、走圏において自然歩を強調する。自然歩といっても好き勝手に歩いていいわけではなく、外見上は私の学んだ尹馬派や程派とそう大きくは変わらない。強いていえば、尹馬派をもっと自然体にした感じか。胸や背中の感じはよく似ている。

 私もいろいろと注意を受けた。やはりこれまでやって来た癖が出てしまい、「自然に」といわれてもできないのである。

 指導を補助してくれたT氏は、まずリラックスして歩くことから教えてくれた。リラックスして歩けたら、そこから少しずつ要求を入れていくのである。

 この方法を経験して、今までの練習法で身についていた力みが少し取れた気がする。「硬走」「蛤蟆歩」と呼ばれる練り方は、鍛練としては非常にすぐれている。しかし私の場合、鍛えることに意識が行き過ぎて、無意識のうちに必要のないところまで力んでしまうのだ。

 尹派の自然歩は、本当に達人の境地だと思う。リラックスしていながら、必要なところだけに力が入っている。穿掌も放鬆が強調され、自分がいかに強く打つことにとらわれていたかを痛感した。

 しばらく更新を怠ったので、記録しておきたいことがたまったり、忘れたりしている。少しずつ書いていこうと思う。