Who Am I? Where Is Here?
二、三日前のこと。
朝、フトンの中で目覚めたとき。少しずつ意識が戻ってきたがまだ目を開けていないという、まさに眠りから覚めたばかりの瞬間。
自分がどこにいるのかわからない。自分が今どこに住んでいるのか、どこで目を覚ましつつあるのかわからないのだ。
一瞬、いろいろな場所が浮かんだ。学生時代の下宿や、よく泊めてもらった友人の家。独身時代のアパート……
つまり、自分が何歳で何をして暮らしているのかも忘れているのだった。
目が覚めるにつれ、思い出した。ああ、自分は先日47歳になり、郊外のテラスハウスに住み、そこの二階で目を覚ましつつあるんだな……
ものすごく深く眠っていた、ということだと思う。自分が誰かも忘れるほど深く。
こんな深い眠りは久しぶりというか初めてというか、ちょっと感動した。そして、現実の自分に戻っていくプロセスが興味深かった。
あのまま思い出せなかったら、それがボケということなのか。意識を取り戻した場所があの世なら、それが「死んだ」ということなのか。それなら、死ぬのも悪くない。大往生というのは楽で気持ちがよさそうだ。
文字通り我を忘れ、思い出していくプロセスを体験して、意識や存在の秘密の一端に触れたような気が少ししたのだった。