アメリカは将軍家?

 高二の娘と日本史の話をした。明治以降の事がわからないというので、薩摩閥が大きな影響を持っているという事を話し、維新を果たした藩の力関係を軸に考えれば理解しやすいのではないか、という話をした。

 結局彼女は薩摩や長州がどこにあるかも知らず、全く話にならなかったのだが。

 江戸時代は、徳川家が全国の大名を支配し、屈服させ続けた期間だった。天下統一の争いに敗れ、屈服させられた藩から見れば、屈辱と恐怖の270年間だったに違いない。そのことを考えていて、その図式は現代にも当てはまるのだと思った。

 インターネットはアメリカの軍事用通信から発達した。そのため、IPアドレスドメインの発行はすべてアメリカの機関が管理している。一説にはインターネット上の全通信の75%はアメリカとイギリスにある三カ所を経由するという。それらの通信はすべて巨大スーパーコンピュータで分析され、通信内容がキーワードで分類され、世界中のインターネット利用者の名簿と通信内容の特徴が記録されているという説がある。

 インターネット界におけるそうしたアメリカの独占状態に関して、EUは国際的に管理するよう強硬に申し入れているが、アメリカは「安全保障上の理由」から認めない、というニュースを読んだ。

 要するに、アメリカは世界の将軍様、徳川家なのだな。日本は外様の小藩に過ぎないわけだ。何かあればお家取りつぶしや改易だ。

 そう思えば、日本が世界でどう生きていけばいいのかも見えてくるんじゃないだろうか。民主主義や世界平和は結局のところスローガンでしかなく、世界を動かす原理ではない。圧倒的な軍事力と、それを背景にしたエネルギーと金融のコントロール。世界を動かしているのがこうしたパワーであることを、素直に認めることは必要だろう。

 徳川家が270年で滅びたように、アメリカの世の中が永遠に続くわけではない。だが、われわれが生きている間にその変化があるかどうかわからないし、アメリカが倒れたとしても日本が世界をコントロールする日はおそらく来ないだろう。

 そこそこの国で、そこそこに生きていく。だがそれでいいし、十分幸せになれると私は思っている。