「毛病」と書いてマオピンと読む。欠点、悪い癖、病気といった意味である。

 「毛病は改められた。この調子で練功していくように」・・・・・。二年前の八月に初めて熊形走圏を学び、以来ほぼ毎日練習してきたが、二年たってようやく先日中国の老師からOKが出た。

 もっとも完成したという意味ではなく、ようやく内功を練るだけの基本の形ができた、というだけなのだが。つまり、ようやくスタート地点に立てたわけである。

 確かに、先日の練習後あたりから丹田に何かがたまってきた感じがあった。鏡で見ると、少し下腹が出ている。やっとスタートできたわけである。

 しかし、まだ腕を下げておこなう熊形だけしかできない。円の中心に向かって構えたまま歩く龍形走圏は、崩れてしまってまったく話にならないのだ。しかし、熊形がきちんとできないのに龍形ができるわけもなく、適当にしか練習してこなかったのだ。もう少し熊形を身体にしみこませたら、龍形にも力を入れようと思う。

 二年もかかったと書いたが、これでも先生から見れば早いほうのようである。私は昨年の四月から教室に通ったが、この日本人の先生が教え方がうまいのである。

 今回会員たちの練習を見て、中国の先生が驚いていた。腰の形も、集中のしかたもいい、と語っていた。「ふつう、走圏の意味が理解できるようになるには何年もかかるのだが、教室の生徒はみな走圏のなんたるかを理解して練習している」と驚いていたそうだ。

 私は走圏の時に左右にぐらつく癖があったのだが、その原因を指摘してくれたのもこの日本の先生である。膝の使い方に問題があるとの指摘を受け、それ以来ぐらつくことがなくなった。なぜまちがった膝の使い方をしていたのか自分でも長い間わからなかったが、指摘されて半年くらいたって、ようやくわかった。

 よく膝が原因だとわかったな、と感心した。ほかにも、微妙な姿勢やバランスの狂いを実に的確に指摘してくれる。また、練習の方向を導き、単調な練習で低下しがちなモチベーションを維持するようにも心を砕いてくれる。

 先生も少なく、情報もなかった30年以上も前から必死で練習し、考え、努力し続けてきた経験が生きているのだろう。それに比べると自分は才能はもちろん、情熱や純粋さでも遠く及ばないな、と感じている。