形意拳に「手打三、脚打七」という拳諺がある。一時期は形意拳ばかり練習していたし、中国武術全般にも通じる要訣なので自分なりに注意し、できているつもりでいた。

 しかし、木曜日の練習でこの言葉の説明を受け、発力について教わったあと練習していて突然気がついた。今までの理解ではレベルが浅かった、と。

 「上虚下実」「気沈丹田」に類する要訣が八卦にもあるのだが、これらは単なる努力目標にとどまらず、具体的な技術として教えられる点が目新しかった。「手打三、脚打七」についても同じだったのだ。

 「掌法の練習は功夫をつけるためではなく、未熟さを確認するためである」との教えもあった。確かに、発力練習をしていると今の二倍くらいの脚力が必要だな、と痛感。85歳で健在の中国の老師の写真を見せてもらったが、ものすごいお尻だった。あれでは電車の座席が二人分必要だ。もちろん腰回りの発達もすごい。太っているわけではない。何十年も鍛え続けた結果、作り上げた下盤なのである。

 そうした脚力はすべて走圏で養成する。そして、走圏で歩くことはそのまま発力の練習につながっている。今回、そのことが改めてよく理解できた。あれは打つ練習をしていたんだな。

 「今いちばん何が楽しいか」と聞かれたら、やはりこういう発見や、できなかったことができるようになることだ。まだまだ練習不足だが、このような楽しみを持っていることは本当に幸せだと思う。

 自分はまだ所属を名乗れるほどの年月を練習していないので教室名を明記しないが、興味を持って練習したいという方がおられたら、紹介はしたいと思う。都内に数カ所教室がある。また、地方会員という制度もある。そして中国の老師(41歳)がもうすぐ来日する。初心者講習会も開かれるので(都内)、メールをくだされば詳細をお知らせします。