自転車でホームセンターにハーブの苗を買いに行った帰り、バッティングセンターの前を通りかかった。久しく行ってなかったので、寄ってみた。

 私は子供の頃からまともに野球をやったことがない。どちらかというと球技が苦手だった。しかし武術を通じて運動能力が少しは開発されたのか、大学生の時に草野球に誘われたときは、まあ並みのことはできたみたいだった。

 ボールを投げたり打ったりする動作は「身体をいかに合理的に使うか」といいう点で非常に興味深い。うまくいけば、非常に爽快なのだ。それでよくシャドウピッチングのまねごとをしたり、バットを振ってみたりすることがある。ただ現状ではキャッチボールすら相手にも場所にも事欠くし、野球の試合そのものが好きなわけでもない。だからバッティングセンターはちょうどいい遊び場所なのだ。

 私の場合は、昔から内角よりの甘い球がいちばん得意だ。ここだといい当たりが出る。ど真ん中の少し高めだと、「絶好球!」と思って振っても、なぜか差し込まれ気味になる。外角低めなんか全然打てない。

 得意なポイントに球が来れば、スムースにバットがでて、おもしろいように打球が飛んでいく。だが、苦手なポイントだと思い切り空振りしたり、詰まったりする。

 どこでも打てるように練習する時間もエネルギーもないが、野球にはまる気持ちがわかる気がする。イチローのように考え続け、努力し続けてきた人間の内部にどれだけの試行錯誤とノウハウがあるのか、想像を絶するものを感じてしまう。