学研のムックは、明日発売のはずだ。タイトルは『決定版! ナンバ歩き身体改造』、定価1000円。今回私は、剣術の羽賀道場、東大の小林寛道教授、フェルデンクライスを取材。

 羽賀道場の剣道は興味深かった。居合を稽古したあと、防具をつけての地稽古。居合はみな真剣を使って稽古する。当日は試し斬りも見せてくれた。先月17日の日記にも書いたが、羽賀道場では歩み足を使い、左右の片手打ちを使いこなす。つまり、相手が面を打ってくると左足を斜め前に踏み込んでかわしながら、左片手でカウンターの面を打ったりするのだ。はずれるとさらに回り込みながら片手横面打ちを連打したり、サッと右手に持ち替えて逆の横面を打ったりする。

 体当たりや足払いもあって、実戦的な剣道という感じがした。しかし、現代式の剣道をする人たちからは邪道扱いされているようである。

 記事には書けなかったが、この道場では竹刀の握りから違う。黒田鉄山師範のように、ベタッとしたつかみ方だ。こうしないと斬れないのだという。黒田師範と違うのは肘の使い方だった。羽賀道場では肘のスナップを重視する。また、黒田師範は左手は柄いっぱいに持つのに対し、羽賀道場では柄を余して持つ。

 梅路見鸞の弟子、池田正一郎師範も、梅路見鸞の刀の持ち方について話してくれた。これも書けなかったが。梅路見鸞は念流のようだが、説明を聞く限りでは黒田鉄山氏とまったく同じ握り、同じ振り方だったようだ。ベタッとつかみ、左手は柄いっぱいに持ち、両肘を伸ばして振る。

 この持ち方、振り方は最初よくわからないが、試してみて体が慣れてくるとなかなか合理的だと思う。肘を伸ばすことで体幹の重さを伝えることができるし、左手を柄いっぱいに持つことによって、右手で押し、左手で引くという梃子の原理を使えるようになる。肘のスナップに頼れない分、体幹の使い方、肩の脱力が重要になってくるように思うが。

 羽賀準一は、「刀には刀の持ち方があり、蝿叩きには蝿叩きの持ち方がある」といっていたそうだ。竹刀剣道の握りを批判してのことである。

 とわかったようなこと書いてしまったが、私は剣術に関しては素人、強いて言えば素振り愛好家、といったところでしかない。