通備拳
私の所属している太我会では、孫詩先生の伝える八卦掌をメインにしているが、同時に長拳系の武術も練習していることを何度か書いてきた。その内容を書けないのがもどかしかったのだが、このたび解禁になったようなので改めて触れてみたい。
遠藤靖彦先生が代表を務める太我会はこの秋に三周年を迎えたが、発足と同時に始めたのが通備拳の講習会だった。通備拳とは、馬鳳図公が劈掛拳を中心に集大成した門派であり、翻子拳、八極拳、戳脚、苗刀、鞭杆など実に多くの内容を含む。
遠藤先生は16歳の頃から内家拳を中心に学んできたが、三十代半ば頃より錬拳の内容に不足を感じていたそうで、太我会の発足をきっかけに旧知の間柄であった林伯原先生を招いて、年に三回の講習をお願いしたのである。奇しくも先日、十回目の講習会を終えることができた。
通備拳の特徴は、動作が大きく、発勁が明確で、実戦に徹した内容になっていることである。そこには徹底して現実的な技術があるだけなのだ。
われわれがこれまでに習ったのは、通備弾腿十[足堂]、劈掛拳・抹面拳(途中)、鞭杆(途中)、通備剣(途中)など。通備弾腿は劈掛、八極、翻子などの要素が詰まっていて、実にためになる。鞭杆は複雑な操作が必要で、頭も体も実に鍛えられる。
通備拳を練習したおかげで、身法の理解が深まり、発勁に関しても進歩があったし、体力や柔軟性も高まった。内家拳も外家拳も、結局は同じなのだということもよくわかった。
というわけで、太我会は遠藤先生から八卦掌を丁寧に教えてもらえるだけでなく、林伯原先生の通備拳も学べるという贅沢な会なのだ。