二年の空白

 2011年の一月いっぱいで遠藤先生の太我会を休会して以来二年間、ほとんど練習ができなかった。お寺に住み込んでの修行生活は心身ともに余裕がない上に、落ち着いて練習できる場所がないのである。

 お寺に入って半年ほどたった頃、旋風脚をやってみたことがある。うまくできない。コツを忘れたのかと思って何度かやってみて、ハタと気づいた。なんと脚力が弱って360度回転するだけのジャンプができないのである。それまでは、走圏や套路をやっているだけで、ジャンプに必要な筋肉も維持されていたのだということに気がついた。

 半年ほど前、自宅に帰ってくつろいでいると、昨年就職した長女がこういった。「お父さん、足が細くなったね! 特に足首が」。気にはしていたが、他人が見てもわかるほど衰えたか。特に足首は走圏で少しずつ筋を鍛えて作ったものなので、細くなると悲しいものがある。すねやふくらはぎ、膝回り、太もももめっきり細くなってしまった。

 「ああ、全然練習してないからなあ……」。ため息まじりにこう答えると、次女が言った。「ええっ! 何にもしないで細くなるの? いいなあ!」

 最後の「いいなあ!」の部分は、長女も同時にユニゾンで発声していた。「いいなあ!」じゃないでしょう。

 前腕も細くなったし、背中も薄くなった気がする。ウォーミングアップ程度だった木刀の素振りだが、多少は体を発達させていたようである。

 技も忘れた。この二年は走圏と二、三の技しかやらなかったので、ほとんどの技が思い出せなくなっていた。八卦掌は二路までしか思い出せず、三路以降はあやふや。通備弾腿もいい加減になっていた。鞭杆は套路どころか基本もほとんど思い出せない。劈掛拳套路はその後やっていないので、どのくらいできないかも確認していない。おそらく起式もあやふやだろう。

 太我会の練習に復帰して何度か練習に出ているうちに、少しずつ体が思い出してくれた。お寺でも何回か練習してみたが、一回練習するごとに体の中から動きが復活してくる感じがあって、おもしろい。

 これからも、練習する時間は増えないだろう。土日は法事があってお寺は休むことはできないから、通備拳の講習に出ることもままならない。そうした制限の中でやるしかないのだが、それも運命だ。お寺の修行、生活で得るものもまた、多いのだから。

 というわけで更新もなかなかできませんが、これからもよろしくお願いします。