勤行とタントウ功

 前回の更新から四ヶ月たってしまった。なかなかブログを書く暇もなく、忙しくしております。

 お寺の生活には慣れてきたが、やはり仕事との両立はなかなか大変である。武術の練習はさらに時間もエネルギーも足りず、なかなか取り組めていない。

 そうした生活なので少しでも生活に武術を取り入れるべく工夫しているのだが、まず、朝夕の勤行を鍛錬の一環にしようと努力している。

 私が修行している本應寺では、朝六時半〜八時半、夕の五時半〜六時半の二度、勤行が行われる。敷地続きにある栖岸院で行われる朝の勤行は、大まかにいってお経30分、念仏30分、瞑想15分、回向などで15分。そして本堂隣の観音堂で念仏を中心に30分の行われる。夕方は念仏、瞑想ともに30分ずつである。

 読経や念仏は正座、瞑想は半跏趺坐で行うのだが、このときにタントウのやり方を取り入れている。丹田で呼吸しながら、気を丹田に沈める。腎を充実させる。

 浄土宗では合掌した手は指先を45度前上方に向けるのだが、このとき肩をゆるめ、肘を脇すれすれの位置に置く。肘を脇につけてもいいのだが、そうすると楽になって鍛錬にならないので、少し離すようにしている。

 合掌した手は指をしっかり伸ばすように指導される。これを長時間続けるのはなかなか大変である。また、本来両掌はをピタリと合わせるのだが、合わせてしまうと両手で押し合ってバランスをとり、どうしても肩に力が入ってしまう。そこで私は両掌をつけるかつけないかのすれすれの位置にしておき、肩に力が入らないようにしている。

 手は龍形の時と同じような意識、あるいは大東流の合気上げの鍛錬になるような意識で身体内部を調整する。

 半跏趺坐の場合、手は膝の上に置いて印を結ぶか、両手を丹田の前に置いて法界定印を結ぶ。このときも、しっかり腰を立て、気を丹田に静め、腹式呼吸をゆっくり行う。調子のいいときは手を少し浮かせ、両腕が肩、背中でつながって一本になるように意識して体を調整する。

 こうした工夫で、勤行と武術が少しでも結びつくように工夫しているわけである。

 ただやはり足の鍛錬はどうしても不足して、スネやふくらはぎの筋肉が堕ちてきたのがわかる。代わりに、正座は40分くらいはできるようになったし、座ったときに丹田がきまるようになってきた。

 正座は自然に丹田が養われるようにできているので、日本人の生活から失われてしまったことはつくづく残念である。私の生徒に書道を長く稽古した女性がいるが、二時間以上正座して書道をしていると、自然と正しい姿勢になり、また楽に座るには中心が定まることが必要なので、自然と丹田ができてくるという。

 畳のない家が多くなったが、やはり食事くらいは畳の上に正座してとりたいものだ。これから家を建てようと考えている方は、ぜひ和室をひとつはつくってくださいね。畳はいいものですよ。