太我会の練習内容について

 昨年の夏にそれまでの精誠八卦会から太我会へと名前を変えて再出発したが、練習内容をホームページでもあまり紹介しておらず、外部から見ればどんな練習をしているのかわかりづらいと思われるので、ここで少し紹介してみよう。

○走圏
 現在のところ、太我会では二時間の練習のうち、およそ一時間を走圏にあてている。

 走圏は馬貴派八卦掌のものと基本的に同じだが、そこには十六歳から武術一筋に生きてきた遠藤靖彦先生のエッセンスが盛り込まれており、またその解釈、理論もこれまでの経験から生まれた独自のものである。ただ単に馬貴派のものを墨守するというよりも、馬貴派の走圏という器を借りて、内家拳の真髄を伝えている、といえると思う。

 具体的な姿勢や動作の要求がすべて先生の練功経験に根拠を持っているため、とにかくわかりやすく、効果があり、確実に身につく。

 理論面では、陳式太極拳の馮志強先生より学んだ胡耀貞の気功理論が中心になっているようだ。とくに腎を強化し、腰部と丹田を発達させていく方法は走圏を練っていく上で会員の間にも大きな効果を上げており、その指導の的確さが実証されつつあるといえる。

 太我会では健康のため、そしてあらゆる武術の基礎作りのために、遠藤メソッドの具体化したものとして走圏を採用し、指導しているわけである。

拳術の基本
 走圏だけに習熟しても、武術を身につけることはできない。走圏は本来、道教の修養法であり、技撃の要素は含まないからである。
 武術の習得をめざすなら、必ず拳術を基礎から練習しなくてはならない。
 太我会には遠藤先生と同時に八卦掌を始め、今ではかなり走圏に習熟した会員もいる。しかし、他の武術を経験していないため、発勁どころか弓歩や馬歩といった架式も身についていない人もいて、武術として非常にアンバランスな状態にあるといえる。
 発勁どころか架式も身につかず、蹴りもできず、攻防に対する基本的なスキルも知識もないとあっては、武術として不完全であるとの考え方から、弾腿をはじめとする基本功を学び、将来、内家拳の高度な身体運用をこなせるような確実な基礎作りを行うのである。

○太我会の目標と特徴
 私は遠藤先生の門下に入って四年半になるが、ようやく遠藤先生のめざしている境地がおぼろげながら見えてきた気がする。

 そしてまた、八卦掌を始めとする武術の道を歩むということが、どれだけ気の長い忍耐力を必要とするものかが、身近に感じられるようになってきた。

 四年半、遠藤先生に指導を受けながらわずかずつでも練習を続けてきたおかげで、心身両面での武術に対する理解が深まってきたのを感じている。

 太我会の特徴は、長期的な視点から内家、外家の両面でしっかりとした基礎を作り、建前や理論だけでない内容の伴った武術を身につけていくカリキュラムにある。

 内家拳の基礎作りは走圏、拳術の基礎作りは弾腿ほかの長拳系の技術を採用している。弾腿(十路)は一般のものと異なり、発勁、招法の面でかなり高度な工夫がなされた套路である。将来どんな武術を専門にするにしても、非常に役立つ基本的な拳術であると思う。

 太我会の訓練内容は地味だが、まじめに取り組めば大きな成果が期待できる内容になっている。じっくり本物の実力を養いたいという人にはお勧めできると思う。