丹田の合・足の注意

 最近、教室では走圏に対する新しい注意が毎週のように加わっている。

 先週は「外形はだいたいよくなってきました。しかしまだ丹田の合が足りませんね」とひとこと。

 先生の丹田を触らせてもらい、自分でもやってみる。「これでどうですか? 少しはありますか?」と尋ねて触ってもらう。すると、

「うーん、どうかなあ。少しはあるかもしれませんね」という返事が。

 なんと、あるかどうかもわからない程度のようだ。四年もやってきて情けない次第だが、この「丹田の合」とはいったいなんだろうか。しばらく頭を悩ませる日々が続きそうである。

 今週は、さらに足の注意を受けた。

 先生は自分の足を触らせて説明し、今度は我々に走圏させて形を直す。

 わかりますか、と尋ねられるが、何を言おうとしているのか全然わからない。

 なんどか説明・体験を繰り返してもらって、突然わかった。

 先生が手直しをしてくれているときは、足の裏の感覚がまるで違う。私はもっと別な感覚を想像していたので、気づかなかったのだ。

 この注意事項も、また恐るべきものだと思う。自分一人では絶対に気がつかない内容だ。なにしろ、できていてもすぐにはそうとわからない感覚だったのだ。そういう意味で、感覚に頼って練習するのも道を誤る恐れがあるのだな、と感じた。

 この日、先生が伝えようとしていた効果を生むためには、腰や股関節も正しく使えなければいけないので、簡単ではない。ただ、身につければ技の威力も鍛錬効果もまったく変わってくる。

 しかしその分、足への負担も格段に大きくなり、痛めやすいので、これまで注意しなかったのだそうだ。股関節、腰、足、そして龍形の上体の注意。大事な課題が急に増えて、なかなか大変である。

 八卦掌以外の基本功もやらねばならないし、最近は武器の対練も始まったので、自分で復習しておかなければならない。やることは多いのに進歩はままならず。

 最近学んだ揺身掌もチェックを受ける。遠藤先生は、「形はいいですね。課題は足腰の強さと安定ですね」との評。単換掌をやっても足腰の弱さを痛感しているので、頷けるところだ。しかし、この課題がいちばんむずかしいかもしれない。

 ところで昨日は、ピュアハート・クラブで野村氏より螳螂拳を学ぶ。

 螳螂拳は二十代でいくつか套路を学び、練習した。

 今回は用法を中心に学んだが、ふだんやらない動きがあり、新鮮だった。

 昔は学べなかった細かい点も教わることができ、勉強になったとともに、意外に疲れて驚いた。やはりたまには他の武術を練習するのはいいことだと思う。頭も体も刺激を受けたのだった。