ポール再発見

 私はずっとジョン・レノンのファンで、強く惹かれる曲はジョンの曲ばかりだった。だが、昨日あたりからなぜか「For No One」という曲が何度も頭の中に聞こえてくる。試しにパソコンに入っているこの曲を聴いてみたら、なぜだか心に沁み入ってきた。

 シンプルなアレンジに控えめな歌い方で、美しいメロディ。イギリスっぽくて、いい曲だと思った。昔から知っている曲なのに、新たな魅力を発見したような気分だ。

 この曲は「Revolver」というアルバムに入っている。アルバムごと通して聞くと、「Here, There, And Everywhere」にもまた感動した。これもシンプルで美しい曲だ。

 ポールもなかなかいい曲を作っていたんだな。と、当たり前のことに改めて気がついた。

 私は高校時代、ギルバート・オサリバンというシンガーが好きで、アルバムを持っていた。「アローン・アゲイン」や「クレア」という曲が70年代にヒットした、イギリスの人だ。何年か前に「アローン・アゲイン」がリバイバルヒットし、来日もしたので知っている人も多いと思う。

 数年前の再来日でテレビに出てアローン・アゲインを歌っているのを聞いて、はたと気づいた。ポールに声も歌い方も、音作りも、そっくりな気がしたのだ。高校生の頃は気づかなかったが、イギリスの匂いがぷんぷんしたこの曲に、ビートルズを重ね合わせて聞いていたのだな。

 先日、女房の誕生日のためにケーキを買いに行った。待っている間、店内にはアローン・アゲインがかかってきた。今聞いてもいい曲だ。今はもうこんな音作りはできないだろう。彼のLPを聴き倒していたころが懐かしい。