先週の土曜日は、八極拳研究会のM氏を取材。以前は張世忠先生の取材で何度か訪れたことのあるスポーツセンターだが、建て替えられて以前の面影はなく、ビックリ。

 そういえば張先生には芝の増上寺近くの公園で取材し、劈掛掌練功法であるロウトウを見せていただいた。ロウは桜の左側が手偏、トウは椿の日が臼になっている字。手刀で杭を打つ練功法で、手首を杭に巻き付けるようにして打つのだ、と教えてくださった。

 また、衝捶の打ち方では「腰だよ、腰」といいながら、碾歩(闖歩)の動作を示してくださった。

 思えばあの先生も、河北省国術館で八極拳の特訓を受け、抗日戦争、国共内戦といった動乱の中国史を生きて来た人だったのだ。使うことが前提の八極拳は、本当に無駄も飾りもなく、素朴だが風格のあるものだった。

 「八極拳は特別な拳法。他の拳法とは全然違うものだ」と、非常に誇りを持っておられた。もちろん、八極拳以外の武術も修めておられるのだが。

 張先生の八極拳の本が完成に近づいたとき、題名をどうするかが問題になった。張先生は、こんな案を出された。「最強烈剛猛の八極拳 今日本で教えています」。

 ちょっと茶目っ気が感じられるが、八極拳のすごさを誇りに思う気持ちと、なんとか伝えておきたいという思いが伝わってきた。

 八極拳研究会は教練も何人か育っていて、ドカンドカンと勢いよく練習していた。自分も一生懸命に衝捶の練習をしていたことを思い出して、懐かしかった。

 八極拳は威力が外にはっきり出る。強そうな人をたくさん見て、なんだかやる気が出てきた。仕事とはいえ、すばらしい先生に会え、いろいろな道場を見ることができるのは、非常に勉強になる。勉強ばかりで、練習が足りないのが困った点ではあるが。